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PROJECT STORY vol.01
高速トラックにかけた想い。
三井化学との共同開発。

日本体育施設が手がける高速トラック。ここでは、町田市立陸上競技場を例にご紹介します。

91年の世界陸上競技選手権開催に向け、より記録が出るトラックの開発が求められていました。お客様のご要望を叶えるために日本体育施設が打ち出した施策とは。

Chapter.01日本体育施設が持つ姿勢

91年の世界陸上競技選手権開催に伴い、1988年、世界陸上組織委員会はトラック舗装材を検討するための試験走路委員会を発足。

記録が出る走路を国立競技場のトラック舗装に採用する目的からメーカー4社が選ばれ、施工コンペが行われることとなった。

その中の1社として日本体育施設の名前も挙げられた。

当時、1960年代後半から世界標準とされた、表面にウレタンのチップを撒いて作られた形状のトラックを“常識”として誰も疑うことはなかった。

宿毛市総合運動公園陸上競技場

宿毛市総合運動公園陸上競技場

Chapter.02常識に立ち向かえ

担当は、入社3年目の奥裕之(現代表取締役社長)。

ウレタンメーカーである三井東圧化学(現三井化学)の柴原敏治(元・日本体育施設技術顧問)と共同開発を行った。
三井東圧化学は、主剤の原料そのものからウレタン材料の製造に至る全てを一貫して行っている。

上が硬く、下が柔らかいという状態が常識とされていたウレタントラック。
それを逆転させ、上は柔らかく下は硬いものにする。

さらに、当時のトップアスリートの意見から、表面のチップが横ブレやスリップの原因になると考え、ノンチップローラーエンボス仕上げにすることを提案した。

着地時に踏ん張ったとき、表面でスパイクがずれない、かつ下層がしっかり蹴る力を支えるためキックに無駄な遊びがなくなると考えたからだ。

しかし、言うのと創るのではわけが違う。柴原とタッグを組み、文字通り、“寝る間も惜しんで”数え切れないほどのサンプルを創り続け、試行錯誤を繰り返した。

Chapter.03同じ目標に向かいひとつになる心

レオタンαエンボス

レオタンαエンボス

そしてついに、『レオタンαエンボス』が誕生した。利用者の目線に立って研究を重ねた『レオタンαエンボス』は見事、コンペに圧勝し、国立霞ヶ丘競技場での採用が決定しました。

国立霞ヶ丘競技場に先駆けて導入された町田市立陸上競技場での施工が始まりました。

施工は機械ではなく手作業によるものです。
広範囲で均一なパターンに仕上げるのは、気温や湿度に影響されるため至難の業であります。

それでももう後には引けない。柴原は、他の仕事も抱える中、工事を行った3ヶ月間、研究所を抜け出し毎日現場へ足を運んだと言います。工

事現場は、会議の場でもあった。
失敗しながらも配合や施工方法に意見を出し合って進行した奥と柴原の気持ちは、いつしか違う会社であるという垣根を越えてひとつになっていた。

Chapter.04かつてない記録ラッシュを生み出す

町田市立陸上競技場は、無事完成した。そのノウハウを生かし、国立競技場の施工も大成功を収める。91年の世界陸上は、かつてない記録ラッシュに沸いた。

施工を担当した日本体育施設にも問い合わせや取材の電話が殺到。イ
ギリスの有名な新聞では“マジックカーペット”と称賛され大々的に掲載された。

マスターズやジュニアオリンピック大会でも多数の新記録を叩き出し、ある有名な走幅跳の選手は、世界新記録を出した後のインタビューで「記録を出せたのはトラックのおかげだ」と称賛。

奥は言う。
「やっぱり常識にとらわれたらだめですよね。常に利用者の目線に立ち、もっとこうしたら良いのではないか?と、良いものを追求し続ける姿勢が大切。常識を疑い、立ち向かわなきゃ人々を感動させることはできないし、自分自身も、会社自体も、高みを目指すことはできないでしょう。」

日本体育施設の本質、これまでの確かな実績と歴史を築いてきた真髄を感じられた瞬間だった。

利用者の声

車いすランナーにも使いやすい高速トラック

車いすのレースでは、特にスタート時やカーブを走行するときにトラック走路のグリップ性が求められます。

安定した表面のエンボスパターンがあると、グリップを活かした走行ができて、記録にもつながります。
また、私の専門である短距離競技では、硬めのトラック走路のほうがスピードが出ます。

国立競技場のトラック走路は、車いすレースにも適した反発性があって、私自身も自己記録を出すことができました。

車いすレースは、スピード感が魅力のひとつなので、スピードが出る速いトラックがいいですね。

製品データ

レオタンαエンボスSF 素材写真

レオタンαエンボスの工法は、表面仕上げにチップを一切使用しないローラーエンボス仕上げで、キック時のぐらつきやブレがありません。そのため、走行感が素晴らしく、好記録を狙えます。表層が下層と一体化しているので、表面の強度が非常に高く、耐摩耗性にも優れています。スパイクを使用しない一般的な利用者が多い場合でも、レオタンαエンボスなら安心です。I A AF(国際陸上競技連盟)の認証舗装材です。

施設データ

奥 裕之 Hiroyuki Oku
代表取締役会長
信州大卒。学生時代、テニスと陸上に青春を捧げる。ゼネコン、設計事務所を経て日本体育施設に入社。スポーツターフ事業・公園管理事業を手がけ推進してきた。
柴原 敏治 Toshiharu Shibahara
営業統括本部 ウレタン樹脂技術顧問
前職の三井東圧化学で研究職に従事。日本体育施設ではウレタン技術講師として講演を開催する。工事現場では技術支援も行う。趣味は落語。