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PROJECT STORY vol.03
投てき実施可能な人工芝にかけた想い。
陸上競技場多目的利用の実現。

スポーツターフラムダとやりの写真

日本体育施設が手がける投てき実施可能な人工芝。ここでは慶応義塾大学日吉陸上競技場を例にご紹介します。

慶応義塾大学日吉陸上競技場は、陸上競技場多目的利用の実現のため、全天候型の投てきができる人工芝を要望していました。お客様のご要望を叶えるために日本体育施設が打ち出した施策とは。

Chapter.01叶えたいふたつの希望

慶応義塾大学創立150周年記念にあたり、塾長より「日吉陸上競技場の全天候化と多目的化」というマニフェストが掲げられた。

しかし、競走部から、「全天候化すると投てき競技ができなくなる」と反対意見が持ち上がる。さらに、大学側にはもうひとつの要望があった。それは、陸上競技場の一般開放である。

慶応義塾大学日吉陸上競技場は、駅から近く、休日の一般開放へのニーズは高い。この二つの要望に対し日本体育施設が打ち出した施策は世界中のどこにもない「投てき競技に対応した人工芝」。

また、一般開放については、日本体育施設の持つ「スポーツの場を多くの方に提供したい」という想いと重なることで、その実現には多方面からの期待がかかるものとなっていた。

Ⓒ高橋学

Chapter.02世界初への挑戦

世界初の投てき実施可能な人工芝の実現へ大きな壁となったのはやはり投げた後球だ。

一般的なロングパイル人工芝は充填層が高く、下にアスファルト舗装が敷されているためやりが刺さらない。
また、多目的という目標を実現するには、人工芝を天然芝の使用感に近づける必要がある。

この状況を解決するため開発に抜擢されたのは人工芝・天然芝の両方に精通し、スポーツ施設の建設において知識と豊富な経験を持った当時・技術本部本部長の田中孝二。施工は当時・施工管理グループ チーフの窪田利彰に白羽の矢が立てられた。

Chapter.03世界初の投てき実施可能な人工芝の誕生

スポーツターフラムダ

スポーツターフΛ

投てき実施可能な人工芝を実現するためには、充填層に厚みが必要であった。

一般的なロングパイルは60mm程度と充填層を厚くするには限界がある。
そのため耐久性・安全性を確保しながらより長い150mmのパイルをメーカーと共に開発。

さらに、多目的を実現するには球技にも対応させる必要があり、JFAの基準に合致することを目標に定めた。
早速、数種類の充填方法を検証、小さな面積で試験舗装を実施した。

様々なトライアンドエラーを繰り返し、適切な充填材の配合を突き止め、ここに世界初の投てき実施可能な人工芝「スポーツターフΛ」が誕生した。

さらに、実施工の前により大きな500㎡程度の試験ヤードを作り、メーカーと施工方法の検証や、日本陸連立会のもと投てき利用についての検証を行った。
また、JFAのラボテストにもクリア。実施工への準備は整った。

Chapter.04震えるほどの感動

スポーツターフΛ(ラムダ)での投てき競技風景

スポーツターフΛ(ラムダ)での投てき競技風景

実施工では、少しでもパイルが埋まってしまうと、不陸や最終的なラインのうねりに繋がり、舗装の厚みや硬さが不均一になってしまう。

少しずつ何層にも分けながら、強度となく丁寧に充填とパイルの起こしを繰り返すという忍耐を強いられる作業が続く。
凸凹や不均一な硬さは、ボールのイレギュラー、弾きや転倒に繋がるため妥協は許されない。

窪田はラインのうねり、細かな不陸を直し続け、これまで先輩たちから学んできたグラウンド施工へのこだわりを貫き通した。
そして、お披露目の場である連合の早慶戦当日を迎える。

物々しい雰囲気の中、もうすぐ世界初の挑戦が始まる。
心臓が飛び出そうになりながら田中と窪田の目の前で、やりが高く舞い上がった。

サッという音を立てて、やりが刺さった瞬間、静まり返っていた会場からはじかれたように歓声が沸き起こった。
「何物にも代えられない“感動”」窪田は言う。

「記念すべきこの瞬間に立会うことができて良かった。この仕事の面白さを心底感じた瞬間でもありました。」当時、会場で一番輝いていたのは、もしかすると彼だったかもしれない。

利用者の声

天然芝と変わらない使用感

投てき実施可能な人工芝の一番良いところは、やはり天候に左右されることなく練習ができるということ。

以前は、雨が降ってしまうと、止むを待ち1~2日、部活動が中止になってしまうことがありました。
投てき実施可能な人工芝だと朝遅く雨が降っても除雪してしまえばすぐに練習を始めることができます。

投てきを行う際も、天然芝と変わらない使用感なのでいつも快適に練習しています。もっと全国的に投てき実施可能な人工芝が増えたらいいなと思います。

製品データ

急速に普及が進んだロングパイル人工芝は、プレイ感に優れ、稼働率も抜群。という長所のメリットを持っています。しかし、芝生を撤去し整備する投てき競技は、球技種目との総合いが難しく、利用制限されるケースも多いのが実情です。また、芝生の維持管理には技術的なノウハウと費用が必要です。こうした背景を踏まえ、研究を重ねた後に誕生したのが「スポーツターフΛ(ラムダ)」です。

施設データ

慶應義塾大学日吉陸上競技場
(日本陸連第4種公認)
田中 孝二 Koji Tanaka
1998年入社 専務取締役 管理統括本部本部長
学生時代は体育教師になることも考えたほどのスポーツ好き。前職が建設会社のため、その経験を生かし日本体育施設に入社。以降、様々な陸上競技場やサッカー場などの施工管理に携わる。
窪田 利彰 Toshiaki Kubota
2005年入社 技術本部技術営業グループ
高校・大学時代に陸上部で競技選手。陸上以外にも、毎日サッカーをするなど、スポーツに明け暮れる日々を過ごす。入社のきっかけは、日本体育施設の仕事内容や情熱に惹かれていて、その姿に憧れを抱いたため。