WHAT’S レオタンαエンボス

いつも競技者の皆さんが走っているトラック走路。地面をじっくりと見てみたことはありますか?
ほとんどの方は注目したことはない地面のこと。このトラックの舗装面には走りやすさだけでなく、アスリートの皆さんの疲れや、蹴る力のエネルギー効率、ひいては記録にまで影響を与える可能性のある、重要な要素です。
日本体育施設では、アスリートの視点からトラックの表面(サーフェイス)について技術開発を続け、製品を世に送り出しています。その中の一つがこちらで紹介する『レオタンαエンボス』です。
エンボス仕上げの『レオタンαエンボス』は、チップ仕上げの表面がぐらつくくため走行者のエネルギーロスが多く、凹凸が激しいため汚れやすいなど様々なデメリットがを改善した画期的なサーフェイスとしてスタートしました。
チップ仕上げとの違い
  • 1.凹凸が抑えられ、足元のぐらつきを防ぎエネルギーロスが少ない
  • 2.摩耗が少なく、凹凸の合間に残る汚れを防ぐ
  • 3.表面仕上げが下層と一体化するので強度が強く、耐久性も高い
この特設ページは、『レオタンαエンボス』の良さを皆さんに知っていただくために用意しました。普段は注目することのなかった『トラックの地面』の話をぜひお読みください。

Section.01
3つの開発コンセプト


いつも「使う人、管理する人」の側から培ってきた日本体育施設のグラウンドづくりの技術とノウハウ。その結晶が『レオタンαエンボス』です。
「より速く」「より快適・安全」に、そして管理の省力化のために「より容易に」私たちは、この3つのニーズに対応することをコンセプトに掲げ、その全てに応える製品になるよう生み出した技術の結晶です。

Section.02レオタンαエンボスの特徴

通常のチップ仕上げは、その名の通りコムチップとウレタン樹脂を混合した素材を、アスファルト等の舗装の表面に敷き慣らして施工します。ゴムの特性と凹凸で摩擦力が生まれ、弾力があり走行しやすくくなります。
トラック競技ではスパイクを使用します。土とは違い、舗装されたトラックの表面が硬いままではスパイクに適しません。表面に柔らかかつ一定の耐久性のある素材が必要となるため、ゴムチップが用いられた経緯もあります。
このようにトラック舗装の主流となったチップ仕上げですが、反面、ゴムの特徴ゆえのぐらつきもあり、凹凸面も大きくなるため、競技上のデメリットもありました。

チップ仕上げのデメリットを改善


『レオタンαエンボス』は、表面仕上げと上塗り層(耐久層)、弾性層の3層の構造のウレタン舗装です。
チップ仕上げと違い、『レオタンαエンボス』は、適度な凹凸を彫ったローラーで、熱と圧力を加えながらウレタンに押し当てるロー ラーエンボス仕上げを採用しています。
チップ仕上げに対し、表面が下層と一体化するため、表層の強度が非常に高く、耐摩耗性に優れています。
スパイクを使用しない一般的な利用者が多い場合でも、ぐらつきが少なく、適度な弾力性でゲガもしづらい『レオタンαエンボス』なら安心してご利用いただけます。
『レオタンαエンボス』は、‘フルウレタンタイプ’(標準品/写真上)とゴムチップ弾性層とウレタン層を組み合わせた ‘R タイプ’(写真下)があります。
日本体育施設の『レオタンαエンボス』は、1999 年 3 月、世界 2 社目、国内初となるWA(当時IAAF)公認証を取得した舗装材です。

Section.03「マジックカーペット」の誕生


1991 年世界陸上が開催された当時の国立霞ヶ丘競技場のトラック舗装には、『レオタンαエンボス』が採用されています。
舗装材の選定に先立ち、世界陸上組織委員会は、専門業者による同一条件下での試験施工を実施し、物性試験と走行テストにより性能評価を行いました。レオタンαエンボス
はこの選考テストをクリアして採用が決定。
走行性は大会会場に試走に訪れた一流のアスリートからも絶賛されました。
’ 91 年世界陸上東京大会男子 100m決勝では 8 人中 6 人が 9 秒台で走るという 20 世紀最大のドリームレースとなり、走り幅跳びにおいては 23 年間破られずにいた大会記録が更新され、男子 400m リレーも目を見張る記録で、世界新 3、ジュニア世界新 2、大会新 30、自国新 113、自己新 220 と空前の記録ラッシュ。
海外メディアでは「マジック・カーペット」と報道されるなど、世界のトップアスリートたちによって『レオタンαエンボス』の驚異的な走行性が証明されました。

Section.04「施工従事者の安全も考慮した『レオタンαエンボス SF』へと進化


日本体育施設では、「特定化学物質 MOCA 無配合」、「特化則非該当」のウレタン舗装材『レオタンαエンボス SF』の販売・施工を 2021年からスタートしました。
ウレタン舗装材のトラック自体に有害性はもちろんありませんが、施工する際に舗装材に熱などを施す工程があるため、施工過程では有害性の懸念があります。
そのため、ウレタン舗装工事では、作業する人の健康を守るため、作業主任者の選定など「特化則(特定化学物質障害予防規則)」と呼ばれる施工基準が定められています。
従来の施工では、特化則に基づいた施工時の取扱いが必要でしたが、日本体育施設ではより施工従事者の安全を確保するため、施工性及び品質管理に改良を重ねてきました。そして有害と指摘された物質を取り除いた『レオタンαエンボス SF』が完成しました。
『レオタンαエンボス SF』は特化則の規制を受けずに安全に作業を行え、より施工従事者の安全性を高めることができます。
札幌市円山競技場では『レオタンαエンボス SF』が採用されています。この施工と日本体 育施設の取り組みが注目され、2021 年 10 月 29 日の『北海道建設新聞』に紹介されました。